その晩 僕は夢を見た
その晩僕は夢を見た
32年間通い続けてきた職場へ、もう二度と来ることはない
最後の出勤日 いろんな過去を思い出しながら、いろんな場所を歩いた
会社へ行く道順も、いつもの道ではなくゆっくりと思い出と歩いた
いつものようにせわしく仕事してると、いつものように一日が早く終わった気がした
これを繰り返しながら、32年という月日を送っていたんでしょうね
仕事が終わり、みんなが帰ったあと仕事場でひとりでいる時間がほしかった
もうこの景色を見ることはない もうこの通路を歩くこともない
この扉を開けることもない
そして、もうこのロッカーの鍵をかけることもない
その晩、僕は夢を見た
13年前に仕事をしていた製造ライン
流れてはいけない不良品が流れているのが見えて、自分があせって処理していた
いつもの仲間は平気な顔をしている
大声を出して、誰かの助けを待っている
周りのは沢山の人がいるのに、誰も助けに来てくれない
そうしているところへ、上司がやってきた
そして、君の声は大きいが人には聞こえない
わけわからない事が起こっていることに気がついた時
目がさめた
なぜ、こんな夢をみたのか?
数日たっても、場所と登場人物は今もはっきり覚えている
こんな夢を見た自分を笑ってしまった
でも、少し涙が
いつかこの晩の見た夢のことは、忘れさせられる日が来るだろう
それは、どこかへ持って行ってはだめなところへ行くからなのか?