手紙         東野圭吾

東野圭吾さんの作品の中では、とても好きな作品です。

確かに取り上げているテーマは重いテーマの作品ですが、人生で一度は読んでおいてもらいたい作品です。

本だけでなく、映画やドラマとしてもとりあげられています。

もし、犯罪を犯してしまったら責任は自分だけでなく、親・兄弟の家族だけでなく兄弟の子供にまで

世間の目は向いてしまう。兄がやったことなので自分には関係が無いでは済まされない。

それはどうしても避けることができないことを痛感させる作品です。

この物語は、弟には大学まで進学させて一流企業に就職させてやりたいと思う兄と、

それを願っていた他界してしまった母。

そんな一般にある普通の家族の物語です。

しかし兄は力仕事で体を痛めてしまいます。

仕事が出来なくなってしまったら、収入も入ってこなくなってしまう。

そんな時に、引っ越し屋で仕事をしていた時の裕福で一人暮らしの年寄りの家からお金を盗むことを思いつく。

それは自分の遊ぶためのお金ではなく、弟の大学進学のためのお金である。

空き巣に入ってお金を手に入れてから、偶然に住民と出くわしてしまい思わず殺人まで犯してしまう。

犯行のあと、腰を痛めていた彼は腰の激痛が原因で逃げることが出来なくなり逮捕されてしまう。

高校生の武島直貴は、突然独りぼっちなる。

高校の卒業式の2日前の直貴の元に、獄中の兄から初めての手紙が届く。

それから月に一度、兄の武島剛志から手紙が届くようになる。

獄中の兄の平穏な日々とは裏腹に、直貴はバンドから誘われてボーカルとしてバンドのデビューの話が持ち上がるが

音楽事務所は直貴なしでのデビューの話だと条件付けされる。

彼女が出来て二人で結婚の話まで進んだ恋愛でも、彼女の両親特に父親からは相手にされない。

就職を決めるにしても、家族の身辺を理由に断られてしまう。

やっと決まった就職先でも、家族のことで販売から物流の仕事に変わらされてしまう。

そんな人生の中でよき理解者として彼に付き添ってくれていた白石由美子とひとつの家庭を持つ。

やがて子供が生まれて幸せに生活できそうに思えた矢先に、娘が保育園やいつも遊んでいる公園で

無視され始める。

それもこれも「強盗殺人犯の弟」というレッテルがすべてを奪っていく。

最後には、兄と縁を切る思いで最後の手紙として兄に別れを告げる

その後、以前バンドに誘ってくれた仲間から再度一緒に歌を歌わないかと持ち掛けられる。

その歌う会場とは、千葉にある拘置所である。

そこには、縁を自ら切った兄がいる。

彼は、その場所 兄がいる拘置所で歌うことを決断できるのか?

彼が歌う勇気を誰が与えられるのか?

なかなか読み応えのある一冊です ぜひ一度は読んでもらいたい。

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